珈琲と夏


先月、遅めの夏休みをとり、双子つれて能登半島を旅した。
ハズバンドの母方が輪島の出身なのだ。
日本海の海産珍味を食べることと、先祖の墓参りと、
昔の友達が能登で今暮らしているので、再会をいちばんの
楽しみに。


昔の友達とは、もう10年以上会っていなかったのだけど、
共通の友人から、地元で自家焙煎のコーヒーを扱うカフェを
開いたと聞いた。焙煎は妹さんが担当しているらしいのだが、
そのコーヒーが口コミで評判になって、通販始めたら全国から
注文がくるほど好評だというから、びっくりした。
通販のコーヒーを分けてもらって飲んだら、深煎りの香り高い
逸品で、またびっくり。
記憶では、いつもはにかんだような表情をして、ゆったりした
動作が、きりんを連想させる女の子だったのになぁ。


珠洲市、狼煙(のろし)というなんだかおっかない名前の町に住んでる
昔の友達にーくんと対面したら、あいかわらずきりんのような
穏やかでふさふさ睫毛の目を瞬かせていたので、安心した。
ほんとに久しぶりの再会なのに、ぎこちない間や気後れもなく
話すことはいっぱいあった。
残念ながら、にーくんのカフェも今夏休みで、お手製ケーキや
淹れたてコーヒーは戴けなかったけど、店内をみせてもらったら、
鄙にも稀なおしゃれカフェだった。
近所においしいパン屋があるというので、連れて行ってもらったら
昔っぽい、なつかし可愛い店構えで、いっぱい種類があって目移りした。
そこで買った「コゲパン」という黒糖ラスク、絶品。



双子は日本海の荒波をふしぎそうにあくことなく眺めてた。
空の低い、抜けのない重たい天海貌を、初めてのウミ体験にしたのは
どうなんだろ。
いいんだろう。あけっぴろげなしまりのないウミはつまらない、と箱。


★補・・にーくんのカフェ「二三味(ニザミ)珈琲CAFE」
おいしいパン屋「シャンボール」

ひとりフリマ


ウチの双子は1歳3ヶ月となり、初めてわたしはひとりで
フリマに出店した。
ほんとは女子3人くらいでわきあいあいとやりたかったのだが、
同世代は育児や週末くらいゆっくりしたいとか、いろいろ事情があり、
のきなみ断られた。
唯一のフリマダチには、急なご懐妊でつわりがひどいとか、
フリマ2日前にキャンセルされた。
さみしいが、これも大人の通過儀式、と歯を食いしばって、やってみた。
この歳になって要らないものは、若いころ好きで着ていたサイケ古着。
あと、革のブレスとか、革のマスクとか、手錠とか、指手錠とか。
ゴルチェのコルセットとか。シースルーのネグリジェとか。


いや、90年代はボンデージファッションが流行ったんだって。
マドンナとか、ほら、写真集でパワーウーマン気取ってたじゃん。
アノ時代は、それ系の人じゃなくても、サブカルでファッションで
装身具として、ボンデージテイストふんぷんとさせた人いっぱい
いたんだって。
ほんとう、に。



でもわたしのブースに立ち止まる客みな、人の顔覗き込むようにして、
にやにや。
「これで遊んだの」「責めるのすきなの」「いやらしいなぁ」
セクハラおやじが来るわ来るわ、一坪観光地みたいな。


うるさいなぁ、買わなくていいよ。
途中からまともに相手するの面倒になって、
「昔バンドやってたんで、全部衣装です」と
うそつきだした。

そうすると、「何系のバンド?」ってつこんでくるやついるのな。
「ゴスビジュアルパンクです」(??)
「Xみたいな?」
「・・まあ・・」
「おねぇさん、なに担当?」
「ボーカル」(えらい音痴だけど)
「へぇ・・」
話おわり。


今回は明治公園に出店したのだけど、冬に新宿中央公園でフリマ
やった時、水色のハイヒール1000円に執心な中年男がいて、
小柄ではげめがね・どぶ色の衣類着て、まったくさえないんだけど、
なんでか、そのハイヒールが気に入ったらしく、自分の足に合うか、
毛玉だらけの靴下で、そっと靴に差し入れる姿をみて、ぞっとした。
傷が3箇所ついてる、500円なら買う、とみみっちいこと言うから、
「せめて800円。それ以下(おまえに)なら売らない」ときっぱり断った。
そいつがまたしてもここに。
やっぱり、うっとり・垂涎のまなざしで水色を手に取る。
以前と同じように500円、と言うから、ひったくって「無理」と蹴散らした。
30分後、男はもどって来て、800円で買っていった。
そうとう欲しかったらしい。


わたしにとってのゴミ・要らないものが、意外に売れたりするのは、
錬金術として楽しい。
でも、こっちは100円500円とワンコイン、今流行のワンコイン・フリマ
やってるのに、意地汚く値切る輩はいるし、しみたっれに品物検分する
業者いるし。
やっぱ、フリマきらい。

いいの?

そうそう、箱マダムにこどもが生まれました。
双子です。一卵性の女児です。
写真は、その、渚と翠。
来月1歳になります。
早いなぁ・・。


生んでから、とにかく育児がたいへんで、
日記書く気はありませんでした。
渚と翠、もうすぐひとりで立てそうです。
だから、日記書いてもいい気がしてきまして、
溜め込んだ悪口とか、まあ・たくさんあるから、
吐き出そうかな、と。


今年のアカデミー授賞式、見たけど、
なんで主演男優賞ショーンペン?
今あげなきゃだめ?
年功序列ていうか、これ逃すともう死んじゃう
フランクランジェラにあげなよ。
以前、「ヴィーナス」でノミネートされたピーター
オトゥールにも、あげなかったし。
いい映画だったし、彼は値する名演技だった。

死ぬよ、いいの?

そもそもショーンペン、こういう業界イベント嫌いで
出ないはずだったのに、「ミスティックリバー」監督の
イーストウッドに諭されて、数年前出席したら、受賞しちゃって、
あの時は反骨の人も丸くなった、とほのぼのしたけど、
今年はなんで出席したんだろ・・。
主演男優賞本命ってわけでもなかったし。
助演男優賞ヒースレジャー、も納得いかないなぁ。
死者に追悼賞か?彼には「ブロークバックマウンテン」の時、
あげてほしいかったなぁ。


ライラの冒険WOWOWで放映したの録画して観てるんだけど、
つまらん。ファンタジー食傷気味。
二コールキッドマン、上唇のお直し(整形)変。
前の、酷薄そうな薄い上唇がすきだって。
なに蜂にさされたように膨らんでるのさ。

守りにはいりました。

自転車で転んでしまった。けっこう・いい歳してるのに、
妊娠中なのに。
そう、箱マダムは妊娠4ヶ月です。
ハズバンドと代々木のくだり坂をびゅんと飛ばしていたら、
バランスを崩して転倒。
先を行ってたハズが振り返った時には、車道でべちゃりと
四つん這いでした。
えへっ。
掌と太ももは強打してすりむいたけど、おなかは打ってない
気がしたので、心配顔のハズバンドにそう言ったら、
ふぅん・そりゃ幸いだったね、と予定どおり代々木駅から
電車に乗って恵比寿まで行き、フレンチを食べて、映画を観ました。
「インランドエンパイア」
あー、眠い。筋がなくてもいいじゃないか、お得意のとりとめのない
イメージと濃厚な映像美をただ楽しめばいい、鬼才デイビィッドリンチ
5年ぶりの作品をけなすなんて、と門外漢扱いされてもいい。
あれは退屈。散漫で冗長。
とくに新鮮なところもないし・・ユーモアが足りないのかな。
強迫観念的なアップの連鎖はいやーな気持ちになるし。
ローラダーンが恐慌きたした時の般若顔はやっぱおもしろいけど、
見飽きたし。
夫婦で眠気こらえて3時間。チッ、口直しに「イレーザーヘッド」観たい。
あ・わたし妊婦だった。


その翌日、妊婦検診で広尾日赤へ。
わたしは一卵性の双子を妊娠しております。
お腹の上からエコー当てるから、と看護士さんがスカートをまくり、
ぎょっとして一瞬固まった。
「この痣、大丈夫ですか?」といいづらそぅに太ももとふくらはぎにできた
内出血と擦り傷を医師に見せてるわ。
おや、彼の顔が曇ったぞ・・カルテの既婚のところ見直してる?
あ・もしや、DV(ドメスティックバイオレンス)の被害者と間違えられた?
話聞くよ、みたいにうなづかれてもねぇ。
でもこの時期、自転車でこけたとか言うと叱られるしなぁ。
ここはひとつハズバンドに泥をかぶってもらって、と逡巡しましたが、
正直に話しました。えらい叱られたけど。
自転車だめ・絶対、って。
エコーで見たかぎり、双子は元気に成長中。
ごめんなぁ・とんまな母で。気をつけまっす。

またヒュ−ジャックマン? 

hakomadam2007-08-06

「ファウンテン」観にいった。
東京では銀座の外れにある銀座テアトルの単館上映しかない。
そこも、1ヶ月ほどのロードショーで、あと順次地方廻ります、って。
ひどい。
銀座テアトルといえば、4年ほど前ヘルツォ−クの「神に選ばれし無敵の男
観たところ。あれもたしか単館上映、地味映画専門なのか、そうであろう。
ダーレンアロノスキーが「レクイエムフォードリーム」以来6年ぶり撮った
新作なのに、主演レイチェルワイズにヒュ−ジャックマン、と誰もしらない
マイナー作品じゃないのに。
まあ・ジョンウォーターズの不遇を思えば、ロードショー公開されるだけマシ。
今さら「ヘアスプレー」ミュージカル版もてはやすくらいなら、
新作「ダーティシェイム」の公開を。
で、「ファウンテン」だけど、客層が不思議だった。
ミニシアター系映画館によくいるような若いカップルとか、独りできている小奇麗な
女子とか皆無で。どちらかというと年輩者が多数。ちらほらと、身体障害者の方も。
考えられるのは、ホームページでスピリチュアル巨漢エハラがコメント寄せてたから、
それ系?
あ・そういやチラシにはエハラ載ってなかったわね。
それは・・なにかアンチスピリチュアル(金とか、)問題でも?
あと、観終わってから、今どきの中高年が支持するミリオンソング、美丈夫の
オペラ歌手が朗々と歌い上げる「お墓の中にわたしはいません」とかいう歌
思い出した。
いや、タイトルに“永遠に続く愛”とかだっせぇサブタイトルが付くけど、
この映画はわかりやすいラブストーリーじゃないの。
割りと早めにあっさりと最愛の人は逝き、残された夫がその死を理解し、
受け容れるまでが延々。
難病の妻を治す特効薬を開発中の医師というのがヒュ−ジャックマン。
愛する者をうしないたくないという必死な思いから、昼夜とわず新薬の実験に
打ち込んでいて、衰弱していく妻のそばに居られないというジレンマもある。
妻はすでに達観した境地で、あとに残る夫が抱えるであろう苦悩や絶望を
心配している。
ヒュ−ジャックマンの痛みや悲しみが豊富なイメージと神秘的な映像によって
わっさりこってり描き出されてはいるんだけど・・なんだろうこの違和感。
ジョディフォスター主演のSF怪作「ザ・コンタクト」を観た時にこみあげた
微笑とおなじ。
死後の世界とか神とか宇宙の果てとか不可侵の分野って、意欲的な映画作家なら
挑みたいテーマなんだろうな。
でもどうなんだろう、箱マダムは、そういうのって個人的なイメージであるべきダ、
と思う。総括しちゃうと、宗教になっちゃうから。危険。
アロノスキーは神秘主義方面にいってしまうのか?
名前はタルコフスキーソクーロフと並び、それっぽいがなぁ。

夏の傷

夏になると肌の露出が増える。そりゃ、ハジケタイのだろうさ。
こういうの、今しかできない、と焦る女のコはさ。しかし、どうよ、
劣情そそるズべ公まがい、ガサツというか無頓着っぷりが目にあまるわい。
毒々しいって。
最近、褐色やブラック系のアメリカものディーバ(ズべ)とやらが、こぞって半裸、
ケツプリンで身をくねらせるイメージって、雑誌でもMTVでもよくあるじゃん。
自分をしっかり持っていればどんなことをしても平気、見た目で決めつけないで、
とか安直なメッセージを発信しているようだけど、芸能人のプライベートは屈強な
ボディガードがいつも護衛しているんだから。
ふつうのコがあんな格好して夜の盛り場うろついてたら、性犯罪に巻き込まれる
危険を考えなきゃ。
自分を貶めない。
これはべつに臆病とか、イケテナイってことではないってわかって。


信号待ちしていた箱マダムの対向から、自転車漕いでやってくる女の子。
オレンジのミニワンピが白い肌に映えて、はっとするくらい整った顔をしている。
でも丸見え。
股間からのぞく黒い下着に視線は釘付け。動く度ちらりというより、ガバ見え。
もうそんなミニ着ちゃったら、自転車降りて押すしかないと思うわ。
接近を待って、小声で注意した。「もしもし、下着みえてますよ」
女のコはわたしの首辺りにひたっと目を据えて「で?」と言った。
で?で?でってなに?キレているの?なんで?
好きで見せてンじゃないよしかたないじゃんあたしにどうしろって、ああんっ。
・・ってことだよね。自転車は去った。

またある日は、短いトップスでへそ出し、異常にジーパン下げてだぼ穿きしている
若い男の後ろ姿みてギョッ。
ケツの割れ目すでに5センチは見えてるとこできゅっとベルト締めてるから、肉が
盛り上がってぷりっぷりなの。をのこのケツは固くしまったのがうつくしい。
それをなんじゃ、ぷりっ、とは。みっともない。
もう「で?」を聞きたくないのでしらんぷりする。

きのうは、会社近くで何度か見かけたことのある、顔の小さいモデルのような肢体、
陶器のような肌をしたきれいな女性と、コンビニ前で遭遇。
襟ぐりの大きく開いたカットソ−着て、胸の谷間大アッピールしていた。
意外な大きさにオヤッと思ったのだけど、それよりも、ローライズのジーンズが
細い腰回りと全然合ってなくて、スカスカなの。
正面から、黒いレースの下着がこんにちわしてる・・。
注意したい、けどもう傷付きたくないの。ごめん。

見ました。

知人から、映画「プレステージ」のただ券もらったので初日に観てきた。
メメント」のクリストファ−ノーランがすきなら満足できるはず。
インソムニアバットマン(ビギンズ?だっけ)も肩すかしだったから、
この復活はうれしい。
凝った編集とだましプロットてんこもりで、ラストまで一気にみせていく。
ちよっとダァクなトーンなので、万人うけはしないと思うけど。
泣けないし。非情な話だし。
だからってTV宣伝にMr.マリックとか使わないでほしい。
安くなるから。
見るべきものは筋肉質な長身痩躯、ヒュ−ジャックマンの華やかさ。
クラシカルなシルクハット姿もお似合い。
コルセット姿で胸丸出しのスカーレットヨハンソンが霞む。
「Xメン」のウルヴァリンがいちばんすきだけど、素顔でもいいなぁ。
ちょっと眼が離れ気味なのがまたいいんでなぁ。
仇役クリスチャンベール、地味。
前々からトムクルーズ下膨れにしたような顔してるとは思ったけど
完璧な歯並びをしたトムクルーズとの違いは、にゅっと目立つ犬歯
かなぁ。トムクルーズより、セサミストリートカウント伯爵
(丸顔で紫色のドラキュラ)似だわ、と膝を打った。


映画終わって、日比谷公園内にある「松本楼」で昼食。
せっかくなら、公園の緑が堪能できるテラス席に座りたい気持ちは
わかるけど、屋内のテーブルは空いてすぐ食事にありつけるのにだよ、
テラス席待ちの行列ができてるのはへんだと思った。
我は屋外席はきらいなくらいなので(突然の虫の飛来、暑いとか寒いとか面倒じゃん)
店内で名物カレーをいただきました。ああ・おいし。
口のまわりをぺろぺろ舐めながら店を出て、地下鉄入口に向かっていると、
尾っぽを立て、しゃなりと往く褐色の牝猫が、ぴたっと停止、
おもむろに放射線に放尿する姿に遭遇した。
はあ、優雅な獣じゃ。