合意のうえ。

6月に引越しすることになり、新居の家具を一新しようと、このごろ
週末は夫婦でインテリアショップ巡りです、とかなんとか書くと、ベージュ系
の色合いを好む無難なデニム派若夫婦っぽいけど、これはいやみだけど、
わたしら夫婦はそうではない。ハズバンドはミッドセンチュリー・北欧系が
好きだけど、わたしはあんまり洒落てたりこざっぱりしてるのはきらい。
どちらかというとビザール趣味だから、手を取り合って即決する家具とか、
ない。あまりない。まだなんの家具も買ってない。

そんな週末、青山のショップ巡り休憩で、わたしの大好きなハンバーガー屋に
入ったのだが、案内された席の隣がハタチそこらの男3人組で、そいつらが
ワーワー声高に話してるから、どうせスロットか合コンの話、と舌打ち。
しかし、箱マダムの耳にいやおうなし入ってくる単語がちょっと変。
「超優良企業で去年の純利益はマジで10億いってるって」「いわゆるITベンチャー
「うまいこと広がっていけばなにもしなくても年収うなぎのぼり」
「明日の説明会にとりあえず出れば人生のためになる話がいっぱい聞ける」
・・げー、こんなとこでネットワークビジネスの勧誘してる。
カモにされているのは、ちょっとおっとりというか、鈍そうな顔つき。
服装も地味というか全身ユニクロ?って子で、口達者な年上の男に
「そんなセンモン(専門学校)出たって、つぶしきくわけないじゃん」と
説教されるようなイタイ学歴。ガッコは代アニとかかなぁ。
年上の男は、もうひとりの連れを「○○君とタメん時ビジネス始めて今すっげえ
成長株」と紹介して、でも・成長株さんはだるそうにストローでジュースすすって
時たまうなづくだけなんですけど。
「○○君、じゃんじゃん質問とかして」って促されても、焦るばかりで、
今住んでるとこの家賃か尋ねてるし。
「実家」ってすげなく返されたし。
もう、野良猫2匹の前に横たわった瀕死の鳩よ。死にかけ。
漠然とした投機内容に、金額だけは明細に提示っていうのがこの手合いだけど、
初期の投資額がけっこう大きい額だから、丸めこもうったって引っ掛かるとこで。
決断できない○○君は、カノジョかともだちに一度相談したいって言い出した。
「女はダメ。よくわかんないくせにすぐ反対するから。
ともだちだって、隙あらば成功するやつの足引っぱろうとしてんだから止めとけって」
じゃ・・おやじにちよっと・・
「親なんか時代おくれだから話聞いただけで危ないものだろとか拒絶反応
しちゃうからだめ」「○○君は一人前の男なんだからひとりで決めな」
みたいな男子の通過儀式的な押しきりで、とうとう○○君は申込書に署名
しちゃいました。んで、ちょっと晴れ晴れした顔してんの。

みしらずのものですが、止めとけ、って声かけてあげればよかったね
とわたしら夫婦は手を取り合い顔を見合わせたのでした。