往生

デス。地獄地帯に往ってきましたの。
大分県別府の各地獄。市内マップにはほんとうに
「各地獄」って載ってます。どこ見ても地獄。
岩も地獄岩。泥土が地熱で膨れて地獄泡。
硫黄の成分が強く草木も枯れて殺生地獄
異様なものをすべて地獄と名づける素朴さに胸打たれました。
でも、立ち寄り湯で見た看板は意味わかんなかったなぁ。

風呂あがりに、旅館の広くて立派な庭園に漂う風情と
丹精込めた庭木に見愡れていたらコレだもの。
べつに地獄と膝打つような異様な現象はそこになく、
看板ひとつが「天国地獄」名乗るのみ。
地獄がなければ造ってしまえ、とはまた御無体な。
あら・地獄がないと不安なのかしら。

ジャッキーチェンも訪れたという泥風呂がある健康ランド
入ったんですけど、室内そこら中が小便とかびの臭いがするような
オンボロ施設で。宿泊もあるんだけど南京虫とかいそう。
噂に高い泥風呂に入ってみましたが、腐食ぎみの木枠の浴槽には
チャコールグレーのとろみある泥がたんまりと。
いたる隅にゴブリゴブリと音を立てて生じる泡がじんわり熱を
伝えてきて珍奇。
地熱次第で泡が急に熱くなったりするみたいで、壁には
「地獄に浸っていることを忘れるな」って貼紙(警句?)が。
泥って不透明でしょ、
掬いあげるとごっそり女の髪とか虫とかがてのひらに付いたりして、
そうすると足下のぬるぬるするものが天然泥か他人の恥垢かわかんない
うへぇ、といきなり粟立ちました。

これが地獄、わたしの地獄体験。