感動

誕生日でした。
歳あらたまりまして、新年より清清しい心地です。
誕生日を迎えるごとに過去の汚辱を祓い、生まれかわるんです。

今年の誕生日はハズバンドと新宿で映画を観ました。
60.70年代に活躍したザ・ゴールデン・カップスという偉大なバンドの
ドキュメンタリー映画「ワン・モア・タイム」
すこし前まで勤めていた会社の近所の映画館に貼っていたモノクロ
ポスターがイカしてて、楽しみにしてたんですけど。
GSという王子様ロマン枠からちよっとはみだしたザ・ゴールデン・
カップスのことを、もちろんリアルタイムで知っていたわけではなく、
鈴木いずみというこれまた70年代のイコンのような作家が、ハーフ
の美形そろいのバンドだけど(特にルイズルイス加部)軟弱な見た目と
ぶっとんだ音のギャップがだいすきだ、というようなことをエッセイで
書いていて、それで何枚かアルバムを聞いてこりゃかっこいいと追体験
したのだった。


映画は現在のバンドメンバーたちへのインタビューと、当時を知る有無名
の人々が、若い頃の彼らの卓越した音楽センス、ワルっぽいエピソードを
証言し、「いやぁ、アイツらとにかくすごかった」と相好崩して笑うって
いうのが前半。いかにも不良中年って風貌の男(メンバーではない・
ウチダユウヤでもない)が「ロックンロールは死なない」って言って締めるの。
・・・・・・・・・。
後半は恐るべし、ザ・ゴールデン・カップスの復活ライブの映像。
もうそれ始まって早々に、夫婦とも外に出てしまいました。
当時の彼らの映像をもっと見たかったなァ。
慣れないカメラにうつむいたりそっぽむくいきがりのポーズや自意識の
芽生えから硬く笑ってみせる若者たちの瑞々しさ、ゴリゴリした爆音と
ボーカルの強引な節回し。サイコーですよ。
原一男が撮ってればなぁ、おもしろいのになぁ。


リズムアンドブルースを取り入れて一時代早かったといわれる音の
斬新さは今や消え失せて、復活ライブの様はオヤジたちの好きな
「円熟ブルースバンド」と大差ないわけですよ。
へんな刺繍ベストや刺繍キャップ身につけて、ぜい肉ではちきれそうな
革パンツ姿なんて、みてらんない。
ミッキー吉野はやっぱりソフト帽にふんわりシャツ姿で。
あれ、禿隠しだった。やっぱり。

歳をとることは恐しい、今に充りないことはあさまし、と
誕生日に感じたのでした。