追究してみたところ。

近ごろよく「サド・マゾどっち?」と質問されるんだけど、
たぶんテレビのお笑い芸人の言動に影響されてるんだと思うけど、
くだらない。他の人は割と瞬時に、サド!マゾ!って答えてますけどね。
なんで、性癖を暴露しなくちゃいけないの。ためらうのもエロス。
まあ・血液型聞かれてんのかな、くらいに流して「サドですけど」と
答えれば、やっぱりなって顔するし。マゾって答えると、(そんな風に)
見えなーいと否定するし。じゃ・聞くな。
箱マダムは「ぜったいB型でしょ?」と決めつけられることが多いです。
いったいどういう根拠によるものなのか、詰問したいとこですが、
いろいろ面倒なので放っておきます。
自らを「マゾ」と名乗ったからには、こいつにはなにをしてもいいんだと
勘違いするように、とたんに相手を見くびり傍若無人な振るまいをする人がいますが、
それは学生時代の「いじめっこ」「いじめられっこ」の再現をしているだけで。
ほんとうの性的マゾは消極的な弱者ではないよ。
パワーゲームの図式にはまると、首を伸ばして際限なく餌をねだるひな鳥のように、
もっとかまってくれ、刺激をくれと貪欲なんだから。
そして、愛と憎しみのようにマゾヒズムサディズムも表裏一体の心理。
わたしには隷従とか耐えられないし、苦痛にもすぐ弱音吐くし、マゾヒズム
ピンとこないけど、ちょっと辛いことを我慢してやり遂げた時の開放感とか
たまには好き。そういうのプチ・マゾ?デイリー・マゾ?
んー・・小洒落たフレンチのランチメニューみたいだなぁ。


今月読んだ本でいちばん興奮したのはジャックケッチャムというアメリカの作家
の最新本「黒い夏」。あまり知られてないけど、大作家スティーブンキングが
尊敬する作家ってことで、やっと日本で本が出版された人。
現在生きている海外の作家で、箱マダムが好きなのはロシアの作家
ウラジミールソローキンと、ジャックケッチャムのふたり。
この作品は、ケッチャムいままでの作風どおりに、旺盛なサディズム
青春の鬱屈とか一過性のものじゃなくて、性根に染み込む暴力性を虚無ともいえる
冷静な視点で描ききった「胸くそ悪い傑作」。
知的でみずみずしい生の魅力にあふれたヒロインを登場させて、読み手が最大に
好感を持ったところでいきなり殺人鬼が無惨に彼女を殺す。
うへぇ・残酷と思いつつ、嬉々とその殺人場面を読み込んじゃうのよね。
そんな自分に愕然とする、わけはなく、わたしこういうの好きってすんなり肯定。
創作世界と理解したうえで耽溺するぶんにはまったく害はありません。