アウトォ!

ログって身辺雑記かくものなんだって? 会社でそう聞いたよ。


髪を切った。腰までのロングヘアをばっさり、とかそんな気負いのある
ヘアカットではなく、手入れ的な、カジュアルなカットのはずだったんだけど。
その晩、帰宅したハズバンドには「揃ってるなー」を連発された。
翌日、会社の若い子に、「確実にモテ系から外れてますね」
1時間後に同じ子から、「よくみると、超ファンキーっスねぇ。後ろとか意外に短いし」

どうやら、○○な髪型だという感想をもたれたようだ。
20代のコムスメならいざしらず、わたしはもう落ち着きたいわけよ。
「個性的」とかいう評価はもう嬉しくないわけよ。・・恥ずかしい。
ひっそりしたい願望を美容師は汲んでくれず、前髪は短くするか伸ばす気か、
って聞かれたから、「うっとおしくない長さ」って答えたら
眉上でまっすぐ揃えられた!
ぱっと見、クサマヤヨイみたいだし。いや、ミスタースポックか。
仕上がりを見て、やられた・・と薄ら笑いしたら、「ぜったい似合うと思った」
美容師は鏡越しに満足気に笑い返す。
そんな相手にきついこと言えないから、もうだまって美容室変えるしかない。

クサマヤヨイ繋がりということで、ユニクロ×ジャパニーズアーティスト
の草間コラボTシャツを2枚購入。安いだけあって・・なんか生地ぺらぺら。
草間カボチャのプリントも洗濯10回以内にはげそう。
あ・箱マダムと一緒や!
おしゃれだ個性派だと派手な金ぴかの外見ひん剥けば、安物。
く〜っ。

なにを食べるかというより誰と食べるか、

知り合いのフレンチのシェフが、自宅でアットホームな料理教室やってるから
一回参加しないか、と友人に誘われて行ってみた。
ほんとにこじんまりしたマンション1Kの部屋で、5人も台所に立てば満員。
男ひとり暮しらしいけど、部屋の掃除は隅々まで行き届いており、完璧。
さらにアロマエッセンスやお香、香水の入り混じった悶臭漂う、その違和感。
某キャラクターのあひるのぬいぐるみ(大・ペア)がベッドサイドに飾って
あったりして、マジそういうの好きなのか、女受け狙いなのかわかんない。
小型犬いるし。
料理教室なんて初めてだからよくわからないけど、シェフ手作りのレシピ見ながら
手順や料理の講釈聞いてレシピに書き込んで、ふんふんうなづいて。でも、
からすみのパン粉まぶしたイベリコ豚の網焼きなんで自宅じゃ作らない、と思う。
習った料理の他に、焼きうずら、ぼたんえびの冷菜、いさきのソテー、小羊のタン、
鴨肉ソテー、角切り山形牛が乗った春菊のリゾット、フォアグラとかぼちゃの餡を
小麦粉の皮で葉巻状に包んで揚げたの、デザートも豆乳のババロア、ブラッドオレンジ
のシャーベット、とシェフによるごちそうがじゃんじゃん出てきて、まるで魔法の
テーブルじゃ、とびっくりした。
材料費込み、ワイン他めずらしい薬草酒もふるまってくれて、6千円は超お得、と
誘ってくれた友人はしきりと言うのだけど、わたしはそうは思わない。
というのも、一緒にテーブルを囲んだメンツがいただけない。
調理講習から居たのは女2人、あとから(さえない)男2人参加。
自己紹介が始まったら、みんな「こみゅにてぃ、みくねーむ」とか言う。
どうやら毎度SNS経由で集うらしい。
アットホームな料理教室というか、完全オフ会じゃん。
これなら、鍋とかタッパー販売のほうがまし。
やつら、肥満気味だったり、会話の間合いが変だったり、料理出てきたらまず、
「(プログに)アップ用」と携帯やデジカメで接写。
ひととおり撮り終わるまで箸はつけられない。
料理がどんなに豪勢美味であっても、食べる相手次第で泥だんご喰らっているように
味気ないというか、げんなりする。もう・にどと行かない。
なんと、参加者全員にシェフのおめがねに適った店のトリュフチョコ(箱)の
おみやげまでくれた。
ハズバンドとうちで食べたのだけど、まあ・なんとおいしいこと。いちばん。

花嫁さんとお婿さん

hakomadam2007-03-26

24日土曜日、椿山荘フォーシーズンホテルでの結婚式に出席した。
快活でおしゃれないいお嬢さんなんだけど、男運があまりよくない子で、
かれこれ10年ほどのつきあいになるが、箱マダムのお眼鏡に適う相手は
ひとりもいなかった。
恋愛指南もそろそろネタ切れ、どうしてくれようと心配していたところに、
友人の結婚式で出会った彼と交際4ヶ月でゴールイン。
運が転がる時はあっという間なのな。


招待客70人ほどの披露宴、なんつっても椿山荘フォーシーズンホテルの宴会だもの。
美味しいフレンチに、光り輝くシャンデリアの数々。
2回のドレスお色直しあり。
二次会は代官山アドレスにあるイタリアンレストランで。
いままで出席した結婚披露宴の中で(数は少ない・・)いちばん豪華(王道)かも。
花嫁が過去の汚濁をすっかり拭い去って、清潔に光り輝いていることが、
なにより嬉しかった。
彼女についての記憶もすべてリセットされ、よき伴侶に巡り合えてよかった。
そうあるべき人なんだ、と真心込めて拍手ができた。


花嫁とわたしの共通の友人が、男をひっかけようという魂胆みえみえで、
(垂れ)胸も露な生々しいスリップドレスで二次会のレストランに現れた時には、
眼を剥いた。脱色しすぎの乾いた髪を固い巻き髪にセットしているが、
風に乱されて夜叉のよう。
憑かれた目元はおそろしく光り、荒んだ影に支配されている女が、宴席に
ぬうっと現れて、男をねぶるように見ている。
輝く花嫁の対比として存在しているような、そのみじめな姿に心が冷えた。
もうこの女の友だちでいるのはやめようと思った。
まあ・そうはっきり詳しくは言えないので、「今日のあんた、うす汚い」
とだけコメントしといた。

どこか遠くにいきたい、か?

箱マダムには旅行したい、特に海外にいきたいという欲がない。
同じ歳くらいの人だと、平均して4.5回、多い人では10数回も海外旅行の経験がある。
独身時代にはボーナスなど遣って、できるかぎり海外へ行きたい、とだいたいの人は
思うようなのだ。
写真をいっぱい撮って(ランドマークの前で平凡なポーズ)、高級ブランド品を
安く買って、旅を満喫したと得意げに話すのを見ると、愚かしいと思う。
(貧乏)パックパッカーたちの旅行も、現地人とのふれあい・出会い話を聞いてると、
その経験で真の成長を遂げる人、のちに果実成す人がどのくらいいるのかと懐疑。
箱マダムには、海外に行って、言語や習慣の違いから不便な思いをしたり、
卑屈な気持ちになったり、胃腸を壊したり疫病にかかったりするのではないか、
という恐怖心がある。
行くならば、どこに行っても清潔で、味覚の合った食物で、意志の疎通がしっかり
できる国内旅行に限ると思う。
旅行記を読むのは愉しい。
最近も伊丹十三著「ヨーロッパ退屈日記」と、車谷長吉「世界一周恐怖航海記」
を読んだ。
伊丹十三監督の映画作品は、独特の臭みというか俗っぽさが生理的にだめだった。
70年代にスポーツカー(ジャギュア)を乗り回し、服飾や美食に一言ある伊達っぷりを
初めて知った。
その時期、海外監督のオーディションを受けて、チャールストンヘストンや
ピーターオトゥールなどと共演もしている。
若いころはこんなに豪胆で、確固たる美意識の持ち主だったのに、つまらぬ
週刊誌記事に追い詰められてスキャンダラスな最期を遂げたとは。無念。
アメリカ人独特の、身についた正義の身ぶりで愚かしくしゃべりたてる。これは我慢
がならない。屈折のない心、含羞のない心、これは我慢がならない。」
この一文を読んで、そのとおりと頷く。
「世界一周恐怖恐怖航海記」は、夫婦で客船による世界一周の旅に出たときの日誌。
車谷長吉も旅行嫌いだという。「嫁さんにせがまれて」嫌々の航海だったらしいが、
わたしは水が怖いので、絶対に行かない。
航海中は、船酔いと下痢と便秘になやまされたとかで、ああッ、それもいやだ。
船上の人間関係もややこしそうだし。
暇と金のかかる客船旅行なんて、面子がしれてる。
海原はどこまでも続くよと壮大な景色ではなく、孤独と閉塞感染み入る環境なのだ。
欲まみれでいやな人ばかり、じぶんは罪深い世から早くおさらばしたい、と
「死の安らぎ」に憧れ、呟く車谷長吉が、深沢七郎とだぶる。
かって代々木参宮橋に住居を持ち、そのあと杉並区久我山へと移った、と若き日の
遍歴を書いていたが、代々木参宮橋は現在、箱マダムがすんでいるところ、
久我山はいもうと夫婦が住んでいるところ。
狭くはない23区内での不思議な一致である。

鮮烈なもの

1月読んだ本。
ちかごろ、著作すべてに感服・尊敬もうしあげる作家にあわない。
あれはいいが、これはだめ。出来むらにがっかりする。
きれいで平易な言葉で淡々とした中庸な日常の描写や
ささやかな感情の機微をほのぼの描く、またはいきつくところ
ラブファンタジー。そんな類いは受けつけない。
近年それこそが主流なので、金臭く、生臭い文体に飢えていた。
若合春侑車谷長吉に巡りあってこれだ、と腑に落ちた。
文章に血肉が通っている。けして人の本質を善くは考えていない。
欲や嫉妬にもがく人、汚濁に浸かる人を蔑んだり、誇大せず、
きちんと描く。濃厚な味わい。
若合春侑は旧仮名遣いで小説書いても達者。
時代設定が大正終わりから昭和の始めごろ、ヒロインの視点で
心理や情景の描写をするなら、旧仮名遣いの方がしっくりくるくらいだ。
どうも、現代口語でやられると、うすっぺらくていけない。
一時、なんのつもりかシイナリンゴが記述を旧仮名遣いでやっていた時には、
いやぁな感じがしたが、気と真にあふれた文章を旧仮名遣いで読むのは苦にならない。
車谷長吉は映画「赤目四十八瀧心中未遂」をみて気に入り、原作も読もうと思った。
暗い、気鬱のこもった話だが、読むうち妙に胸が騒ぎ、すっかり引き込まれた。
主人公の男はヨステ人となって・なりきれず、四方をあくの強い隣人で囲まれる。
この漂流潭は尼崎が舞台だが、中上健次が繰りかえし描いた『路地』を彷佛とさせる。
「忌中」もすばらしかった。

★その他読んだ本
「うそうそ」
「銀幕の昭和 スタアがいた時代」
「贅沢貧乏暮らし」
「蜻蛉」若合春侑
「海馬の助走」若合春侑
「小説探偵GEDO」
ジーヴスもの」PJウッドハウス
よしきたジーヴス、比類なきジーヴス、でかしたジーヴス

「モンスターハウス」

子供向け映画というふれこみだけど、意外と深遠で、怖い。
恨みや憎しみが怪物を生むって、こども時代には知りたくない。
キャスリーンターナの嗄れ声が怪物にぴったりなので、字幕版がおすすめ。